平成20年度 秋季講習会のお知らせ

地下水環境の保全
−地下水の持続的利用の在り方−

 

主 催
後 援

 社団法人地下水技術協会   
 国 土 交 通 省 ・ 環  境  省 
 

  本協会は、地下水に関する正しい知識の普及と技術の発展を目的に、月刊誌「地下水技術」を発刊して技術的な情報の提供を行うとともに、毎年秋に技術講習会を開催して参りました。
   今回の講習会では、地下水環境の保全を焦点に.、斯界の権威及び第一線の研究者・実務者にご講演をいただくこととしました。
  地下水の重要性は、今更論ずるまでもありません。地下水は、国土を構成する重要な要素のひとつであるとともに、その水質が良好で恒温性を有する優れた特性から日常の生活用水、農業用水、工業用水、また都市部ではビルの増加とともに冷暖房用などの都市用水として欠くべからざる存在となっております。
 地下水の利用量は、わが国の全淡水利用量の15%を占めており、消雪にまた熱エネルギー貯留等新しい目的のための利用もおこなわれつつあります。しかし、地域によっては過剰揚水に起因する地盤沈下、また塩水化等の障害が生じているところさえあり、適切な開発・管理が必要であります。一方「水」を生活環境の一部としてとらえる機運がたかまっており、地下水においてもまた例外ではなく、湧水の復活を望み、住み良い環境を求める声が高まりつつあります。
 そこで、「地下水環境の保全 −地下水の持続的利用の在り方−」と題し、過去、現在、そして未来に続く地下水の保全と適切な利用について講習会を開催し、有意義な情報を皆様にご提供したいと思います。多くの方々の参加を、お願いいたします。 なお、当講習会は、土木学会継続教育(CPD)プログラムとして認定されております。
 

開  催  要  領

日 時  :平成20年11月7日(金) 9:45〜17:10
 
場 所  : 東京都新宿区山吹町11―1 測量年金会館(2階大会議室)
案内図(Google Map)                電話 03−3235−7271(代) 
 
交 通  :地下鉄 江戸川橋駅下車(有楽町線)・神楽坂駅下車(東西線)徒歩5分
 
会  費  :会 員 金9,000円(講習会テキスト代を含む)
非会員 金11,000円(講習会テキスト代を含む)
 
申込先 :社団法人 地下水技術協会
〒101-0061 東京都千代田区西神田2−7−6 川合ビル35号室
電話 03-3556-0637・FAX 03-3556-0638 E-mail : info@jgwater.or.jp  
 
申込方法:協会機関誌・平成20年7・8月合併号同封の書式によるか、あるいは会社名・団体名、所在地、所属部課、受講者氏名を協会メールアドレス宛通知のうえ、下記銀行・郵便局へ会費をお振込み下さい。
三菱東京UFJ銀行 神保町支店(普通)No.0139776 社団法人地下水技術協会
神田三崎町郵便局 振替口座 00160−3−84492 社団法人地下水技術協会

プ ロ グ ラ ム

時刻

プ ロ グ ラ ム

講 演 要 旨

9:45

開 会 挨 拶

 

9:50

来 賓 挨 拶

 

10:00

地下水環境保全に関する行政の取り組み



環境省 水・大気環境局
地下水・地盤環境室長
                  和 田  篤 也

 地下水・地盤環境の保全に関する取り組みは、従来地下水の水質管理、地下水の汲み上げが原因とした地盤沈下対策を中心に行われてきている。 河川流域の環境保全上健全な水循環という観点からも、河川水などの表流水とともに地下水は重要な役割を果たしているところ、河川水と同様の環境上の取り扱いが必要と考えられる。 このため、今後は、硝酸性窒素対策、地下水・地盤環境の管理・有効利用、湧水の復活・保全、地球温暖化対策・ヒートアイランド対策等、地上と地下とを一体のものとしてとらえ、「街づくり・地域づくり・人づくり」に貢献する地下水・地盤環境施策の実施に取り組んでいきたい。

11:00

湧水の保全と利用 ―洪積台地の古水流と地下水流動





法政大学工学部
都市環境デザイン工学科教授
 
                    山 田  啓 一

 洪積台地の崖線に沿って点在する湧水群は貴重な水環境として注目されている。湧水群の流出特性や水質変化は個別性が顕著である。湧水群の大半が小規模な局所循環系からなり、湧水保全に当たってはこれらを規定する表層の帯水層特性とそれぞれの水循環機構を対比する必要がある。本報告は、武蔵野台地を対象として、ローム層の下位に存在する砂礫層境界の深度を各種地盤資料(約1万本)から読み取りGIS上で礫層上端面を作成した。礫層上端面図上の連続した谷(古水流)を抽出した。地表面の谷(現水流)と地下水面の谷を比較し水系を3つに区分した。古水流に沿って湧水群が点在し、現水流から古水流が分岐する区間で河川水が伏流し、古水流が現水流と交差する区間で地下水流出が顕著であった。

12:00

昼   食

13:00

共生型地下水利用について


岡山大学環境理工学部
環境デザイン工学科教授
                     西 垣   誠

 地球温暖化等の環境問題が大きな社会問題となっている今日で エコな生活と地下水の再構築に関して、これから何を政策として考えていき どのような技術を開発していくべきかを論述する。

14:00

沿岸域における地下水環境の保全について

(独)産業技術総合研究所
地圏資源環境研究部門
地下水研究グループ長
                      丸 井  敦 尚

 沿岸域において地下水を利用する場合、塩水化や地盤沈下など沿岸域特有の問題が付きまとう。一方沿岸域は人口の密集地であり、おのずと地下水の需要も大きい地域である。わが国における沿岸域での大規模工事の事例や、東南アジア各国での沿岸域の地下水管理の状況、モニタリング手法などをあわせて紹介し、今後の地下水問題とその解決法について議論したい。

15:00

飲料製造における地下水の環境保全

日本ミネラルウォーター協会会員
サントリー株式会社 CSR・コミュニケーション本部 環境部長 

                      屋  雅 光

 「水と生きる」企業が循環型社会の中で果たすべき責任として最も重要なテーマは、「水のサステナビリティ」を実現することだと考える。そのテーマの実現のための活動の一例として、筆者が所属する企業において全国9カ所で展開する水源涵養活動拡大と、水の使用量削減に向けた環境技術導入など、自然界の水の循環に負荷をかけない環境活動を紹介する。

16:00

都市域地下水の新しい利用方法


旭化成ケミカルズ株式会社 
取締役常務執行役員 
                      小 宮  強 介

 日本でも幾多の震災で、上水道ライフラインが破断し、断水の復旧まで時間がかかることが繰り返されているが、破断予防のための耐震化には莫大な費用がかかる。そこで、特に都市域での災害時応急給水拠点として「持続的な水源である深井戸から膜処理等によって安全な水が供給され続ける仕組み」(ライフスポット)を、「民間企業の資金を使って、自治体と協力し、ネットワークとして整備すること」で2つの課題の同時解決が図れる。

17:00

閉 会 挨 拶